iDeCo、月1万円じゃ意味ないんじゃないか。
うん、その気持ちはよくわかる。
月1万円じゃ老後の2,000万円なんて届かない。
そう思うよね。
でもね、iDeCoの本当の価値はそこじゃないんだ。
iDeCoにしかできないこと。それは、毎月の給料から天引きされてる税金を、取り戻せることだ。
給与明細、見たことある?
所得税と住民税、けっこう引かれてるよね。
iDeCoに掛金を入れるだけで、その一部が返ってくる。
NISAにはこれができない。iDeCoだけの武器。
ただし、誰でも得するわけじゃない。
節税が活かせる人と、活かせない人がいる。
それに、悲しいことに出口(受け取るとき)で活かせなくなるケースもあるんだ。
せっかくiDeCoやったのに損した、なんてことにならないように。
この記事ではまず、月1万円のメリットを数字で見ていこう。
出口の落とし穴は、別の記事で整理したので安心してほしい。
メリット① 掛金を入れるだけで税金が減る
iDeCoの一番の武器は、実は運用益じゃない。
掛金が全額「所得控除」になることなんだ。
「所得控除」って何?ってなるよね。
めちゃくちゃ簡単に言うと、こういうこと。
月1万円をiDeCoに入れる → 年間12万円
→ この12万円ぶん、「稼ぎが少なかったこと」にしてくれる
→ 税金の計算のもとが減る → 税金が安くなる
じゃあ実際いくら得するのか。年収別に出してみた。
| 年収 | 課税所得 | 所得税率 | 年間の節税額 | 30年の累計 |
|---|---|---|---|---|
| 200万円 | 約54万円 | 5% | 18,000円 | 54万円 |
| 300万円 | 約109万円 | 5% | 18,000円 | 54万円 |
| 400万円 | 約168万円 | 5% | 18,000円 | 54万円 |
| 500万円 | 約233万円 | 10% | 24,000円 | 72万円 |
| 600万円 | 約298万円 | 10% | 24,000円 | 72万円 |
※年間の節税額 = 所得税の節税 + 住民税の節税(住民税は一律10%)
年収200万〜400万円までは年間18,000円で変わらない。
でも年収442万円あたりで所得税率が5%→10%に上がるから、そこから節税額が24,000円にジャンプする。
年収が上がるほど節税の恩恵がデカくなる仕組みなんだ。
年収300万円でも、30年で54万円。
新卒で始めたら定年までに54万円タダでもらえるようなもの。
年収が上がればもっと増える。
これ、NISAと比べるとわかりやすい。
同じ月1万円で同じオルカン(全世界株インデックス)を買ったとして。
| NISA | iDeCo | |
|---|---|---|
| 30年後の資産(利回り7%※) | 1,220万円 | 1,220万円 |
| 節税で戻ってくるお金 | 0円 | +54万円 |
※ 7%はオルカン(全世界株)の過去の平均リターンから置いた仮の数字。将来を保証するものじゃない。下がる年もあるし、マイナスで終わる期間だってある。
同じ商品、同じ金額なのに、iDeCoのほうが54万円多く手元に残る。
NISAでオルカン買っても税金は1円も減らない。iDeCoなら減る。
※正直に言うと、iDeCoは手数料(ネット証券で年間約2,000円)が引かれるから、30年後の運用額はNISAよりちょっとだけ少なくなる。でも30年で約6万円の手数料に対して、節税は54万円。差し引きでiDeCoの圧勝。
しかもこれ、株が上がるか下がるかとは関係ない。
掛金を入れた時点で確定する利益。 ノーリスクで戻ってくるお金。
メリット② 運用益が非課税で増える
節税だけじゃない。
iDeCoの中で投資した運用益も、NISAと同じで非課税。
普通の証券口座だと運用益に約20%の税金がかかるけど、iDeCoならゼロ。
ここはNISAと全く同じ。
商品はNISAほど選べないけど、オルカンが1本あれば十分。
選んで放置。月1万円でも30年回せば複利がしっかり効く。
iDeCo月1万円が意味ある人・ちょっともったいない人
ここまでメリットを見てきたけど、正直に言わないといけないことがある。
全員に意味があるわけじゃないんだ。
✅ 意味ある人
- 会社員・公務員で給料から税金が引かれてる人
つまり、ほぼ全員。税金を払ってるなら取り戻せる。
ただし出口の話があるから、勤務先に企業型DC(401K)があるかどうかで話が変わる。そこは別記事でまとめたよ(後述) - 55歳からでも意味はある
5年でも税金は戻ってくる。年収500万なら5年で12万円の節税。ただし加入期間5年だと受け取れるのは63歳から(10年以上なら60歳から)。受け取ったあとNISAで運用する手もある。60〜65歳で再雇用などで働いていれば、その間もiDeCoの節税は効くよ
⚠️ ちょっともったいない人
- 課税所得がない・少ない人
年収が低すぎてそもそも税金を払っていない人。取り戻すものがない。iDeCoの掛金は年間12万円の控除になるけど、課税所得が12万円以下だとフルに活かせない - 住宅ローン控除で所得税がゼロの人
住宅ローン控除が先に所得税をゼロにしちゃう。iDeCoの控除が空振りする
住宅ローンを使ってる人はけっこう多いと思うから、ここは少し詳しく書いておくね。
住宅ローン控除ありなしでの節税額の違い
住宅ローン控除がある場合、iDeCoの節税はどうなるか。
※控除額の上限は住宅の種類による。ここでは一般住宅の年間21万円で計算
| 年収 | ローンなし | ローンあり |
|---|---|---|
| 300万円 | 18,000円 | 12,000円 |
| 400万円 | 18,000円 | 12,000円 |
| 500万円 | 24,000円 | 12,000円 |
| 600万円 | 24,000円 | 12,000円 |
| 700万円 | 36,000円 | 36,000円 |
年収600万円以下だと、住宅ローン控除が所得税をゼロまで消しちゃう。
だからiDeCoの所得税の節税が効かない。
でも、住民税は年収に関係なく毎月1,000円安くなる(年間12,000円)。 これはゼロにはならない。
じゃあ住宅ローン控除の13年間はiDeCoをやめるべきか?
悪あがき父さん的には、続けたほうがいいと思う。理由は3つ。
- 住民税は毎月1,000円ちゃんと安くなる。ゼロにはならない
- 13年後にローン控除が終わったら、iDeCoの節税がフルに復活する
- やめて再開するのは手続きが面倒だし、その間の運用益も失う
じゃあ「税金払ってない」って年収いくらの話?
iDeCoの節税は、課税所得があって初めて使える。
課税所得ってのは、年収からいろいろ引いた残りのこと。
ここで会社員とパートで差が出る。
| 会社員 | 扶養内パート | |
|---|---|---|
| 給与所得控除 | 55万円 | 55万円 |
| 社会保険料 | 年収の約15% | 0円 |
| 基礎控除 | 48万円 | 48万円 |
会社員は社会保険料を引かれてるから、そのぶん課税所得が少ない。
パートは社会保険に入ってないぶん、引かれるものが少なくて、早く課税所得が出る。
| 課税所得ゼロのライン | |
|---|---|
| 会社員 | 年収約122万円 |
| 扶養内パート | 年収約103万円 |
年収122万円以下の正社員なんて、ほぼいない。
つまり、会社員ならほぼ全員、iDeCoの節税メリットがある。
ちょっともったいない人に当てはまっても、がっかりしなくていい。
そういう人にはNISAがある。
NISAはiDeCoと違ってややこしくない。いつでも引き出せるし、出口で税金を取られることもない。
何も考えずにオルカン積み立てるだけでOK。最強の仕組み。
それに、NISAの非課税枠1,800万円は「元本」で消費される。
運用益でどれだけ増えても、枠を食わない。含み益ノーカンで増やし続けられるのもNISAだけの強みだ。この話はまた別の記事で書くつもり。
iDeCoが合わなくても、NISAで積み立てていけば十分に資産は作れるよ。
ただし、iDeCoは60歳まで引き出せないから注意。
貯金がまだ少ない人は、まずは生活費3〜6ヶ月分を貯めてからの方がいい。
まとめ
iDeCo月1万円、意味ないのか。
数字で見てきた結果、メリットは2つあった。
- 節税: 所得税は年末調整で還付金として戻ってくる。住民税は翌年6月から毎月の天引きが減る。年収300万円でも年間18,000円、30年で54万円
- 運用益非課税: NISAと同じで、運用益に税金がかからない
「意味ない」って言ってる人は、たぶん貯まる金額だけを見ている。
でもiDeCoの本当の価値は、毎月天引きされてる税金を取り戻せること。
活かせる人は、使うべし。
ただし、課税所得がない人や住宅ローン控除で所得税ゼロの人はちょっともったいない。
自分の給与明細を見て、所得税が引かれてるか確認してみよう。
悪あがき父さんの場合
50代、会社員。自分もiDeCoを月2万円ずつやっている。
実は会社員がiDeCoに入れるようになったのはわりと最近の話で、自分はまだ数年しか経っていない。
52歳の今から60歳までの8年間、積立を続ける前提で数字を出してみる。
60歳で企業型DC(401K)と合わせて一時金で受け取る予定だ。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 月の掛金 | 2万円 |
| 年間の節税額 | 48,000円 |
| 8年の節税合計 | 約38万円 |
| 現在の残高 | 100万円 |
| 8年後の運用資産(利回り7%※) | 約430万円 |
| うち運用益(非課税) | 約138万円 |
※ 7%はあくまで仮の数字。過去の平均から置いただけで、8年後に本当にこうなる保証はない。暴落の直撃を食らえば元本割れで終わる可能性もある。確定しているのは節税38万の方だけ、と思っておいたほうがいい。
節税38万 + 運用益138万 = 約176万円のプラス。
金額は大きくない。でも、やらなかった場合と比べたら確実に手元に残る。
ただし、掛けすぎると出口で損することがある。
退職金との兼ね合いで、税金を余計に取られるケースがあるんだ。
出口のルール(10年ルール・19年ルール)は別の記事で整理したので、そっちも読んでみてほしい。


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