
最近カッコイー車、増えてきたよね。
デザインは未来的、日常使いも快適、運転を助ける安全装置も充実してきた。
……もーーー、とっても欲しーーーい。
「いやいや、ダメだよ父さん」
せっかく5年前から資産形成始めて、毎月の積立もやっと慣れてきたじゃないか。今ここで大きなローン組んだら、また家計ぐちゃぐちゃでしょ?
「でもね……」
もう10年乗ってんのよ、この車。
新車発表のニュース見たり、町中をスーッと走る最新モデル見かけたりするとさ、「自分もそろそろ替えたいなー」って気持ちが、じわっとこみ上げてくるんだよ。
「……まあ、わかる」
ってことなら、資産を減らさずに車を買うにはローン組めばいいんじゃねー。俺って賢い。
「ちょっと待って」
投資で増やす横で、ローンの利息も払うんだよね。
雪だるまを育てながら、横から少しずつ削ってる感じ?資産が増えにくくなるんじゃないの?
「じゃあ、貯金を頭金にしてローン半分にすれば?」
……あれ、結局ローンか。
「それなら中古の200万の車にすれば?手元の現金で全額払えるじゃん」
いや、せっかくなら新車が欲しい。
……投資をする前は、こんなに悩まなかったんだよなー。
貯金しかなかったから「現金で払う or ローン組む or 頭金+ローン」の3択でよかった。
投資が選択肢に入った瞬間、組み合わせが一気に増えた。
どうやって買えば、損しないの?
……ってことで、父さんはいつものクセを発動した。
「気になったら、まず計算する」
投資のリターン5%、ローン金利3%。差し引き2%なら、両方やった方が得じゃね?
でも、投資の5%は約束されてないし、利息は借りている残高にかかる。数字を引き算するだけで決めていいのかな?
シミュレーターに入れた30年分のリターンで20年試算してみたら、頭で考えた答えとは違う景色が出てきた。
「どう買うか」を考えてたんだけど、答えは『買い方』の中になかった。
ということで今回は、「投資をしながら、車をどう買うか」を、3つ──いや、もう1つ隠れてた、4つのシナリオで20年シミュレーターを回していく。
結論を先に言っておくと、今回の試算では、頭金の入れ方より「車にいくら使うか」「いつ買うか」で大きな差が出た。
よかったら最後まで付き合って。
使ったシミュレーター、ちょっと特別仕様なんだ
まずは今回使うシミュレーターの紹介から。
車の購入・ローン返済・投資を、同じ月予算の中で計算する作りになってる。
条件は、新車500万円・中古200万円。最初のお金200万円、毎月の予算6万円。ローン金利は年1.8%で、返済中は月予算を優先して返済に回し、余りを投資する。
新車も中古も買い替えは10年ごと。車の値段は年2%ずつ上がる仮定だ。新車500万円なら10年後は約609万円、20年後は約743万円になる。
ここでいう「純資産」は、投資残高からローン残高を引いた金額。
車の売却価値は足していないし、運用で儲かった額そのものでもないよ。
A・B・Cは、20年ちょうどの買い替え代まで引いたあとの数字。新しい車を買った直後なので、ここで残高が大きく下がる場合がある。
投資には、シミュレーターに登録された1995〜2024年の年次リターンを使い、開始年を変えて20年間ずつ比べた。
この版は米ドル建てのMSCI ACWIを想定したリターン表を使い、為替の動きは入れていません。円で買うオルカンの実績をそのまま再現したものではありません。また、各年の伸びを月ごとに均しているので、年の途中の急落までは再現していません。
つまり、条件をそろえた計算例として、買い方による差を見るシミュレーションだ。将来いくらになるかを当てるものではないよ。
比較するのはこの4種類
組み合わせは無数にあるんだけど、今回は4つに絞った。
🅐 頭金+ローンで新車購入
貯金200万円を頭金に入れて、不足する300万円を借りる。月予算で返済しながら、余りを投資に回す。
🅑 全額投資+フルローンで新車購入
貯金200万円は投資に回して、新車500万円をフルローンで買う。運用がうまくいけば有利だけど、値下がりしても返済は続く。
🅒 中古車を現金で購入
200万円の中古車を貯金で一括購入。最初のローンはゼロなので、月予算6万円を投資に回せる。次の買い替え代は投資から取り崩す。
🅓 資産を育ててから中古車を購入
まず貯金200万円と月予算を投資に回す。目標の1,000万円に達したあと、中古車を買う。それまでは、この計算の中では車を買わない。

AとBは「同じ新車の支払い方」の比較。Cは車の価格、Dは買う時期も変えている。
だから、4つとも同じ車生活を送る比較ではないんだ。Dで待っている間の交通費や、今の車を維持する費用は入っていない。そこは覚えておいてね。
2台目以降は、A・Bとも投資残高を購入代に充て、不足分を借りる共通ルール。Bが毎回フルローンを組む比較ではありません。
自分が気になったのは、Dの「先に資産を育てる」という順番。まずはAとBから見ていこう。
🅐 頭金+ローンで新車買って20年。資産はどうなった?

まずは🅐から見てみる。
貯金200万を頭金にして、不足300万をローン。月予算でローンを返しながら、余りを投資に回す。
(まずは、頭金を入れて借入額を減らすパターンから)
スタート年で結果がガラッと変わる
これが1998年に始めたときの動き。
ITバブル崩壊もリーマンショックも、ぜんぶ通った20年。それでも最終的には純資産453万でゴール。
(ローン返しながら投資もやって、暴落くぐり抜けて、ちゃんとプラスで終われた。すごくない?)
「これ、暴落あっても結局プラスじゃん」って思ったでしょ?

ところが、たった1年ずらして1999年に始めたらこうなった。
純資産 -225万。
20年シミュ回して、純資産がマイナスで終わるパターン。
登録データでは2000〜2002年のリターンが3年連続マイナス。その後の値動きに加え、買い替えでお金を引き出すタイミングも結果に影響している。
投資の落ち込みに加えて、20年目にも新しい車を買う。最後のマイナスを、最初の暴落だけで説明することはできないんだ。
(マイナスは、車の価値を含めずに「投資残高−ローン残高」で見た数字だよ)
同じパターンなのに、差は約678万円
| スタート年 | 20年後の純資産(A) |
|---|---|
| 1998年 | 🏆 +453万 |
| 1999年 | 😢 −225万 |
| 差 | 約678万円 |
たった1年違うだけ。
同じ「貯金200万を頭金、ローン300万、月予算6万で新車を10年ごとに買い替え」というパターンでも、始めた年が違うだけで結果が真逆になる。
父さんの読み解き
「頭金+ローンで新車買う」って、巷では堅実派とされてる。
でも今回の計算では、始めた年で残高が大きく変わった。
(頭金を入れたら、投資の値下がりまで避けられるわけではないんだね)
じゃあ「全額投資+フルローン」の戦略Bならどうなのか?
次行こう。
🅑 全額投資+フルローンで新車買って20年。資産はどうなった?

次は🅑、フルローン投資派。
貯金200万は全額投資にぶち込んで、新車500万はフルローン。月予算でローン返済しながら、余りを投資へ。
(借りるお金を増やして、手元のお金を運用する作戦。運用の結果次第だね)
Bも、スタート年で結果がガラッと変わる
1998年に始めたときの動きはこんな感じ。
最終純資産は 486万。プラスで終わった。
「あれ、Aの453万と似てない?」
そう、似てる。戦略Aより33万円多いだけ。

そして、1999年スタートだと──こうなる。
純資産 -228万。
A戦略の-225万と、ほぼ同じマイナス。
(この例だとAとの差は3万円。思ったより近かった)
Bも年で結果が真逆。差は約714万円
| スタート年 | 20年後の純資産(B) |
|---|---|
| 1998年 | +486万 |
| 1999年 | −228万 |
| 差 | 約714万円 |
A(678万差)と同じく、1年違うだけで結果が真逆。
Bでも、始めた年によって結果が変わっている。
(A・B 両方やってみて気づいたんだけど、これ何を選ぶかより「いつ始めるか」の方が効いてない?)
父さんの仮説
ここで気づいたことがある。
「父さん、AとBの数字、近すぎない?」
そうなんだ。並べてみよう。次のセクションでAとBを並べて、どのくらい違うのか確認する。
あれ、AとBどっちが勝った?
1998年スタートでは、Aが453万円、Bが486万円。差は33万円でBが上だった。
「えっ、思ったより近くない?」
33万円は小さなお金ではない。でも、これから出てくる車の価格や購入時期の違いと比べると、差は小さかった。

1999年ではAが−225万円、Bが−228万円。今度は頭金を200万円入れたAが、3万円上だった。

1995〜2005年の11通りで見ても、AとBの順位は入れ替わる。手元の計算では差は約3万〜348万円だった。
今回の条件では、頭金あり・なしのどちらかが毎回有利、とはならなかった。
「頭金なんて意味がない」とまでは言えない。借入額や毎月の返済への安心感も違うからね。
それに、今回は2台目から同じ支払いルール。最初の200万円をどう使うかを比べた結果なんだ。
じゃあ、車の予算自体を変えたらどうなる? 次はCを加えてみよう。
🅒 中古車キャッシュを混ぜたら、景色が変わった
1998年スタートのCは2,311万円。Aの453万円、Bの486万円に対して、約1,800万円以上の差が出た。
「えっ、そんなに違うの?」

1999年も、Aが−225万円、Bが−228万円に対して、Cは1,724万円だった。

今回の11通りでは、CはA・Bより上。なぜここまで違うのか。
- 車の購入価格が500万円から200万円へ、300万円下がる。
- 最初のローンがないので、月予算を投資に回せる。
- 次の買い替えでも、より安い車を選ぶ条件になっている。
「中古だから勝った」というより、車に使う総額を抑えて、投資に残すお金を増やした結果だね。
「新車は買っちゃダメってこと?」
そういう話ではないよ。今回は500万円の新車と200万円の中古車。新車の価格を下げたり、長く乗ったりすれば結果も変わる。
中古車キャッシュ+投資。自分はここで「これでもう十分だな」って一旦思ったんだ。
でも、ふと考えた
「もし最初の200万円も、しばらく投資に置けたら?」
そう思って試したのが、買う時期を後ろにずらすDだった。
🅓 資産を育ててから買うと、どうなった?
Dは、貯金200万円と月予算6万円で資産を育て、1,000万円に達してから中古車を買う。
1998年スタートでは、約7年10か月で目標に到達。翌月に中古車を買い、20年後の純資産は2,785万円。Cより474万円多かった。

紫の線が一度ガクッと下がるところが購入のタイミング。それまで車に使わなかったお金を、運用に回している。
(でも約8年待つって、短くはない。待てる暮らしかどうかもセットだね)

1999年では、Dは2,351万円。Cの1,724万円との差は627万円だった。

今回の11通りでは、Dが最も大きい残高になった。
ただし、Dだけは最初の数年間、車を買っていない。運用期間を長く取れるうえ、20年間に買う車の回数・時期も変わる。その差を含んだ結果だ。
「同じ生活をして、買う順番だけ変えれば必ず増える」という意味ではないよ。

それでも、自分には気づきがあった。
今の車に無理なく乗り続けられるなら、買い替えを少し待つことは、自分でも考えてみたい。
始めた年を変えると、残る金額も変わる
Dが最も大きくなったのは、今回の11通りでは2002年スタート。約5年9か月で目標に達し、20年後は3,878万円だった。
でも、どの年でも同じだけ増えるわけじゃない。Dの結果を並べると、こうなる。
| 開始年 | Dの20年後の純資産 |
|---|---|
| 1995年 | 2,772万円 |
| 1996年 | 2,436万円 |
| 1997年 | 2,440万円 |
| 1998年 | 2,785万円 |
| 1999年 | 2,351万円 |
| 2000年 | 2,821万円 |
| 2001年 | 3,282万円 |
| 2002年 | 3,878万円 |
| 2003年 | 3,069万円 |
| 2004年 | 3,253万円 |
| 2005年 | 3,509万円 |
最も少ない1999年は2,351万円。2002年との差は1,527万円。同じルールでも、使うリターンの順番でこれだけ変わる。
「Dなら3,000万円になる」と金額を約束する表ではない。同じ方法でも結果には幅がある、というところを見てもらえたらと思う。
この比較で分かること・入っていないこと
ここまで見て、Dがよさそうだと思った人もいるよね。自分もそうだった。だけど、実際に選ぶときには、計算の外にあるお金も足して考えたい。
① 待っている間の移動費は入っていない
Dで車を買うまでの電車代やレンタカー代、今の車を使うなら修理代・車検代。こうした費用は計算していない。今すぐ車が必要な人と、待てる人では、選べる方法が違うよね。
② 車の価値・維持費や、投資の税金も別
この「純資産」には、持っている車の売却価値を含めていない。下取り、燃料、保険、税金、修理などの維持費や、投資の売却税・手数料も計算の外。新車と中古の維持費の差も反映していない。
③ オルカンの円建て実績とは違う
この版のリターン表は米ドル建てのMSCI ACWIを想定したもの。為替を反映せず、年次の数字を月に均している。だから、実際の円建て投資の残高や、暴落の最中の動きとは違う。
分散投資でも損失はあるし、将来も同じ順位になる保証はないよ。
④ 全額投資は、計算上の条件
初期200万円を全部投資するB・Dも比較したけど、生活費まで投資に回そうという話ではない。手元に残す予備費や、教育費などの近い支出は分けて考えたい。
持ち帰りたいのは、「頭金」「車の価格」「買う時期」の3つを分けて考えること。
自分が変えられるところを一つ動かすだけでも、家計の選択肢が見えてくると思う。
父さんが気づいたこと、置いていくね
最初は「頭金を入れるか、フルローンにするか」で悩んでた。
でも計算してみたら、車にいくら使うか、いつ買うかでも大きく変わった。支払い方だけを見ていたんだなって気づいたんだ。
じゃあ、どう考えればいい?
- 今、買い替える必要があるか。今の車に安全に乗れるなら、待つ案も考える。
- 車にいくらまで使うか。欲しい車と、家計に残したいお金の両方を見て決める。
- その金額をどう払うか。手元の予備費と月々の返済を見て、頭金や借入額を考える。
自分の家は車が必要な地域。だから、車なしで何年も暮らすDを、そのまま真似するのは違う。
でも、今の車に乗りながら資産を育てて、買い替える時期を考えることならできそうだ。その場合は、今の車の維持費や修理代も忘れずに足したい。
今回、自分が持ち帰ったのはこれ。お金を増やすことと、今の暮らしを楽しむこと。どちらも残せる買い方を探したいね。
シミュレーターも置いておくね
月予算・車の価格・開始年を変えると、計算の中でどんな差が出るかを試せる。上で書いた条件や、含まれていない費用も合わせて見てね。
(最後まで読んでくれてありがとう。父さんもまだまだ悪あがき中。また気づいたら書くね)
計算の確認範囲・参考資料
2026年9月5日、手元の旧シミュレーターに登録されたリターン表と計算式で、1995〜2005年の11通りを再実行し、1998・1999・2002年の掲載結果との一致を確認しました。これは計算の再現確認であり、登録リターン全30年分の原資料照合や、シミュレーター全機能の検証を完了したという意味ではありません。
月予算6万円、返済配分100%、初期200万円、新車500万円・中古200万円、年利1.8%、買い替え周期は両方10年、車価上昇率2%、目標1,000万円、20年間。図は作成時の画像を残しています。図中の「実データ」等の表記は、この本文で説明した登録データによる試算として読んでください。


コメント