本当は投資の勉強をするつもりだった。
その中の一冊に、こんな考え方が出てきた。
お金の使い方によって、幸福度は変わる。
正直、最初はピンとこなかった。
お金で幸せが買えるなら、苦労しない。
でも、少し試してみようと思った。
最初に変えたのは、安全靴だった
会社で使う安全靴は、いつもワークマンの3000円くらいのものを選んでいた。
正直に言う。
3000円の安全靴は、安全靴としての機能は十分だ。
コストパフォーマンスも最高だと思っている。
それでも今回、ミズノの17000円のものを買ってみた。
正直、少し迷った。
機能的には3000円で十分とわかっている。
でも、ふと思った。
仕事や家族を優先して、自分の好きなことなんて考える暇もなかった。
自分が何を好きで、何に満足するのか。
気づけば、わからなくなっていた。
ある本にこう書いてあった。
中年になると、人は自分が大好きだったことを忘れがちだ、と。
そのとおりかもしれない。
だから買ってみようと思った。
もし履いてみて無駄だったと感じれば、次はまた3000円の靴でいい。
それはそれで、自分にとって3000円で十分だとわかったことになる。
でも気持ちが変わったと感じれば、自分の好きなことが一つ見つかったことになる。
何もしないことは、お金を使わないという意味では正解に見える。
でも何もしないまま年老いていく。
今この瞬間を大事にしていない、ということでもある。
買った。
理由はBOAシステムだった。
ダイヤルを回すだけで、一瞬で着脱できる。
休憩のたびに靴ひもをほどく手間がなくなった。
わずらわしい時間が減り、ストレスが減った。
それだけではない。
52歳という年齢で、足腰への負担を減らす「軽さ」と「滑りにくさ」にお金を使う。
将来のけがを防ぎ、長く働くための靴だと思った。
見栄のためではない。
機能だけなら3000円で十分と、わかっている。
それでも、自分の快適さと健康のために選んだ。
「機能で十分」と知った上で、あえて選ぶ。これが自分の価値観で納得してお金を使うということだと気づいた。
今でもお気に入りだ。
次はメガネを新調した
安全靴を買ったあと、ふと気づいた。
メガネのレンズに傷がついていた。
落としたとき、地面で擦れたのだと思う。
「まだ使える」と思って、そのままにしていた。
ずっと、そのままにしていた。
思い切って、新しいメガネを作った。
視力を測り直して、今の目に合うレンズにした。
かけてみると、小さい字がよく見えた。
目を細めなくて済む。
それだけのことだが、気分が違った。
そのとき気づいた。
慣れていたから、我慢している感覚がなかった。
傷ついたレンズで見ていたことも、視力が変わっていたことも、ずっと放置していた。
でも改善されてみて初めてわかった。
ずっと、小さなストレスを抱えていたのだ。
慣れることと、満たされることは、違う。
そのことを、新しいメガネが教えてくれた。
果物を買って、思い出したことがある
子どもたちが喜ぶから、果物はよく買っていた。
買うのは子どもたちの分だけ。
親の分はもったいなくて買わなかった。
「お父さんはいいから食べな」と、ずっとそう言ってきた。
今回、家族全員の分を買った。
みんなで一緒に食べた。
そのとき、思い出したことがある。
子どもたちは、気を使いながら食べていたのかもしれない。
お父さんが食べていないのに、自分だけ食べていいのかと。
一緒に「美味しいね」と言いながら食べた。
子どもの顔が、いつもより嬉しそうだった気がした。
自分が喜んでいる姿を見ながら食べると、子どももっと美味しく感じていたんだと思う。
本当の美味しさは、気を使わずに一緒に味わうことで生まれる。
そのことを、果物が教えてくれた。
これは金額の問題ではない。
自分が何に豊かと感じるかを、考えてこなかった。それだけのことだった。
ずっと我慢していたから、たまに自分のために使うだけで嬉しかった。
毎回でなくていい。
毎回になれば、その嬉しさは消える。
でも、ゼロでもいけなかった。
「お金で幸せを買う」の意味が、少しわかった気がした
安全靴、メガネ、果物。
どれも大きな買い物ではない。
でも共通することがある。
今まで「まだ使える」「どうせ汚れる」「自分はいい」と後回しにしていた。
今回は、自分のために選んだ。
その違いだけで、気分が変わった。
自分が何に豊かと感じるかを、考えてこなかった。それだけのことだった。
最後に、自分に問いかけてみたい
ずっと思っていた。
将来が来れば、豊かになる。
老後の準備が整えば、安心できる。
未来の豊かさを夢見て、今を後回しにしてきた。
でも今回、小さなことを試してみた。
安全靴を履いて、メガネを新調して、家族全員の分の果物を買った。
そこに、小さな幸せがあった。
未来に夢見る豊かさとは違う。
でも確かに、今ここにあった。
本当の豊かさとは何だろう。
まだ答えは出ていない。
でも、考えるきっかけになった気がしている。
「まだ使える」と思っているその選択は、今の自分を満たしているだろうか。
もし違うと感じたなら、次は何にお金を使うだろうか。
50代・2児の父・会社員。収入は大したことない。でも諦めない。悪あがきで豊かな老後を目指している。

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